数学史最大の定理を解いた引きこもり―アンドリュー・ワイルズ―
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2020年2月8日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年10月4日
360年間、解けなかった数学の定理があります。それが、フェルマーの最終定理です。17世紀のフランスの数学者ピエール・ド・フェルマーは、書物の余白に思いついた数学的な定理や予想を書き込む習慣がありました。そこである定理について書き込み、「私は驚くべき方法でこの定理を証明する方法を思いついたが、証明するには余白が小さすぎる」と付け加えて、証明を省きました。
それが、360年間、数学者を悩ませ、その証明に心血を注ぐことになるフェルマーの最終定理です。数多くの数学者が、その定理を証明しようと挑戦し、完全な証明には至らなかったものの、部分的に証明していって、証明を積み上げていきました。
ブリンストン大学の数学者アンドリュー・ワイルズは、もともと、フェルマーの最終定理に出会って、数学の道に進んだ経歴を持っています。主流数学の方に関心を持ったワイルズは、骨とう品ともいえるフェルマーの最終定理からは離れていきました。
しかし、主流数学を研究するうちに、自身の研究する分野がフェルマーの最終定理とつながることを知り、その証明に心血を注ぐことにしました。
ワイルズは、証明に関係のない仕事からはできるだけ遠ざかり、屋根裏部屋に閉じこもって7年間、証明に没頭しました。同僚の中には、ワイルズが死んだと勘違いしたものもいたといいますので、その引きこもりぶりは徹底しています。
そうやって7年間、引きこもって証明に没頭し、1993年6月21日から23日にかけて、ケンブリッジ大学にて証明の発表を行いました。事前に告知していないにもかかわらず、うわさがうわさをよんで、多くの数学者が講義に参加し、立ち見が出るほどの盛況だったそうです。
こうして、360年間、数学者がチャレンジし続けてきた証明が、偉大な引きこもりによって完成することになったのです。
引きこもりというと、ネガティブな印象しか持たないですが、引きこもることによってこそ、できることもあります。フェルマーの最終定理の証明のように、誰とも交流せず、外界から隔絶された環境で、孤独に思索するというプロセスが必要なことはあります。もし、ワイルズが忙しく働いていたら、もしかしたら証明は完成しなかったかもしれません。
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