不登校カウンセリングブログその1068.「愛情をもっと与えてください」「見守ってください」「すべてを受け入れてください」というアドバイスでは不登校の解決が難しい理由。
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2022年3月10日
- 読了時間: 4分
更新日:2022年10月23日

わが子の不登校を、カウンセラーなどの相談機関に相談して、
「愛情をもっと与えてください」
「見守ってください」
「すべてを受け入れてください」
というアドバイスを受けた方は多いでしょう。これらのアドバイスは、不登校のある段階を除くと、効果がありません。これらのアドバイスでは不登校の解決は難しいのです。その理由について書いていきたいと思います。
そもそも、子供が不登校の状況にあるということは、どういうことでしょうか。それは、何らかのことが原因になって、子供が、
「自分はダメだ」「将来には希望がない」「勉強する意味が分からない」「生きることはつまらない」「嫌な人間と出会いたくない」・・・
等の悩みや苦しみ、あるいは疑問を抱き、学校に行くこと、外の世界で生きることを望んでいないということです。
したがって、不登校が解決するには、抱えている悩みや苦しみ、疑問が解消して、子供の心の状態が変わり、外に出たいという気持ちになる必要があります。それに加えて、いじめなど、学校側に問題がある場合は、その問題をきちんと解決しておく必要があります。
さて、子供が抱えている悩みや苦しみ、疑問を解消するにはどうすればいいのでしょうか。子供一人で、それらを解消するのはなかなか難しいですし、時間もかかります。それゆえに、そばにいる人、たいていは親御さんになりますが、それらを解消するような言葉をかけていく必要があります。その言葉を聞いた子供は、それをヒントにして考えていくことができます。そうすると、子供一人で考えるよりも、解消しやすくなり、時間も短縮できるでしょう。
そこで、先ほどのアドバイスです。「愛情をもっと与えてください」「見守ってください」「すべてを受け入れてください」というアドバイスを実行して、果たして解消されるでしょうか。
「愛情をもっと与えてください」。
抽象的なアドバイスです。愛情を「もっと」与える、どうすればいいのでしょうか。まったく具体的ではありません。アドバイスというものは、基本的には具体的である必要があると、私は考えています。このアドバイスは、具体的に何をすればいいかが、分かりにくいのです。
それに加えて、意味がないアドバイスでもあるのです。愛情を持っていない親御さんが、わが子の不登校を心配し、専門機関に相談しようと思うでしょうか。愛情を持っているからこそ、そういう行動をするわけです。愛情不足だから不登校になっているわけではないので、まったくの的外れな、意味がないアドバイスです。
「見守ってください」。
このアドバイスもよく聞く内容です。このアドバイスは、不登校直後の、子供が深く傷つき、「今は誰ともコミュニケーションをとりたくない」と考えている場合は、有効なアドバイスとなります。そういう状態では、言葉をかけても子供が拒否しますので、まさに「見守る」しかないのです。
しかし、それ以外の状況、すなわち子供がコミュニケーションを受け入れる状況では、時間がばかり経過してしまうことになってしまいます。子供は、先ほど挙げた悩み・苦しみ・疑問を抱いています。それらを解消するためには、ヒントとなる言葉を子供にかけていく必要があります。「見守る」ことをしてしまっては、いつまでもそれらの悩み等が残ったままになってしまいます。
「すべてを受け入れてください」。
このアドバイスも、不登校の状況を受け入れる、不登校になったわが子を受け入れるという意味では、有効でしょう。親御さんが、不登校の状況を受け入れず、わが子を無理にでも学校に行かせようという状態では、子供は「落ち着いて」不登校になることができず、疲れた心と体を休ませることができません。不登校の状況を受け入れることで、子供がようやく心と体をやすませることができるのです。
しかし、それ以外の場合、受け入れるだけでは受け身な対応です。子供の心の状態に配慮しながら、積極的に言葉をかけていくことが、不登校の解決を進めていくことになります。
こういうアドバイスしかしない相談機関は、おそらく不登校については詳しく知らないのか、あるいは知っていて不登校の状況を長引かせて、カウンセリング料金をできるだけせしめようとしているのか、疑われます。もし、そういう相談機関と出会ってしまったら、できるだけ速やかに、関係を断った方がいいと思われます。
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