不登校カウンセリングブログその1176.勉強の意義が見いだせない子供に、「精読」は学生時代でなければなかなか難しいこと、それによって身につく力があることを、伝えてあげてください。
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2022年6月27日
- 読了時間: 3分
更新日:2022年10月21日

不登校の子供に限らないことですが、勉強の意義を見出せず、やる気が出ない子供はけっこう多いのではないでしょうか。ほかならぬ、これを読んでいる方の子供も、「何のために勉強をするのか分からないから、やる気が出ない」と感じているかもしれません。私は、学生時代の勉強の意義の一つに「精読」ということがあり、これが後々の人生においても、大きな力になっていくと考えています。
「精読」とは、本などを細かく読んでいくことです。学生時代においては、1冊の教科書を半年か、あるいは一年かけてじっくり読んでいきます。先生に言われたところに線を引き、その部分についてよく考えて、吟味しながら読んでいきます。これが「精読」です。
精読は、集中力や忍耐力が必要な読み方です。そのように細かく読んでいく作業には、やはり集中力が必要ですし、サーッと読んでいきたいところを、丁寧に、丁寧に読んでいく作業になりますので、忍耐力も求められます。
ただ、この精読をやっておくと、後々の人生で大きな力を得ることになります。
その一つが、「仕事能力」です。精読することによって、細かいところまで読み込む習慣が身につきます。これは、社会に出て仕事をするようになって、書類を読んでいく時に、細かいところを正確にとらえる力や、仕事に関する指示をしっかりと理解する力、総じて「仕事能力」を身につけることになります。ここをあいまいにしてきた人は、どうしても仕事でミスをしやすくなってしまいます。
もう一つが、「情報収集力」です。「情報判断力」と表現した方が、いいかもしれません。世の中にはたくさんの情報であふれています。自分にとってとても役に立つ情報もありますが、たいして役に立たない情報もあります。効率よく、自分にとって役に立つ情報を集めるには、情報を目にして短時間に、それが役に立つかどうかを判断していく必要があります。精読は、全体の中でどこが重要かを読み込む作業でもあります。つまり、精読を重ねることによって、情報判断力が高まっていくのです。
さらに、精読を身につけておくと、精読とはまた違う読み方、「多読」と合わさって、いわゆる「教養人」の道を進んでいけるようになります。精読は、本をじっくり読んでいく読み方ですが、「多読」は、たくさんの本を読んでいく読み方です。この両方の読み方を身につけることで、自分で情報を得て、情報を取捨選択し、情報に基づいて判断できる「教養人」への道が見えてくるのです。
「精読」だけしか身につけていなかった場合、たとえば大学時代の成績を「全優」とすること、それによって就職をなどを有利にすることは可能です。大学の教科書を何度も読み込んでいけば、いい成績は取れるからです。
しかし、それだけで後の社会人としてうまくいくほど、甘くはありません。社会に出て、何らかの仕事をやることになりますが、世の中の動向などについて、ある程度知っておく必要があります。その際、マスコミを通して知ることにもなりますが、マスコミ情報には嘘や間違いもありますので、それに惑わされないようにすることが必要です。そのように、マスコミの嘘や間違いに惑わされず、自分で情報を判断して考える力のある人が「教養人」です。「教養人」になるには、たくさんの情報や知識が必要で、そのために「精読」に、「多読」が必要となるのです。
ただ、「精読」をしっかり身につけたからこそ、「多読」によって大切な情報や知識を得ることができます。もし、「精読」を身につけていなければ、「多読」してもそれらを得ることが難しいです。
社会に出てから、「精読」を身につけることが不可能というわけではありません。可能です。ただ、何らかの仕事をしながら、空いた時間で「精読」を身につけるのは、強い意志が必要です。学生時代は、それがやりやすい環境であり、「勉強の意義は何?」と疑問に感じている子供がいたら、学生時代に行える「精読」の大切さを伝えてあげてください。
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