挫折や失敗が原因の不登校・引きこもりの子への登校刺激
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2016年8月12日
- 読了時間: 4分
勉強やスポーツでの挫折や失敗が原因で、不登校・引きこもりになっている子に対しては、どのような形で登校刺激を行えばいいのでしょうか。
まず、このタイプの不登校・引きこもりも含めて、すべての不登校・引きこもりに共通することですが、頭ごなしに
「学校に行きなさい」
と登校刺激しても、子供は学校に行きません。そのような「登校刺激」では、かえって子供たちは、
「親は自分の気持ちをわかってくれない」
と考えてしまって学校には行かないでしょう。
このタイプの場合、考えなければならないことは、親が子供に過剰期待してないかどうか、結果しか認めず、努力を認めていないということがなかったかどうか、ということです。
つまり、子供が結果にこだわるところに、親子関係が影響していないかどうか、この部分を考えてみなければなりません。
「絶対に〇〇高校に合格しなさい」
「必ず医者になりなさい」
と親が子供に対して過剰に期待していると、結果が出せなかったとき、
「親に認められなくなる」
と恐れてしまうようになります。やがて、何らかの挫折や失敗をきっかけとして、努力するエネルギーを失い、それが不登校や引きこもりになってしまうのです。
親が結果しか認めない場合も同様です。
このような場合は、親がまず考え方を変えることが、登校刺激になります。不登校・引きこもりの原因が親子関係にある場合、親が変わることによって、子供が不登校・引きこもりの状況から脱出する一つのきっかけになります。
親が子供に期待すること、結果を求めることは、愛情の一つの形です。悪いことではありません。
「うちの子供はどうなっていい」
などと考える親は、子供への愛情はありません。
しかし、子供への期待や結果を求めることが行き過ぎてしまうと、子供が結果主義に陥ってしまい、挫折や失敗に耐えられない、ひ弱な人間となってしまいます。
そこで、努力することを認める「プロセス主義」の人生観を親が持つべきです。
生きていて、ストレートに結果を出すことができたら、とても幸福なことです。挫折や失敗もなく、人生をおくれたら、素晴らしいことでしょう。
しかし、そのようなことはなかなかありません。何もチャレンジしなければ、そういうことも可能ですが、それは成功もしない人生です。
一生懸命努力しても、挫折や失敗はあるから、結果が出ないことはある、結果を出すことも大切だが、結果を出そうと努力することこそ、大切であるという「プロセス主義」を
親が人生観として持っていたら、子供は挫折や失敗に直面しても、それほどショックを受けることなく、立ち直ることができます。
このような人生観を親が持つことで、不登校や引きこもりの状態にある子供は、不登校・引きこもりの状態から抜け出るきっかけとなります。それは、親が考え方を変えて、頑張ったこと、努力したことを認めてあげると、それが子供に伝わるからです。
いい結果しか認めないのであれば、結果を出せなかった子供のことを心のどこかで裁くことになります。そしてそれが伝わります。
しかし、親が努力を認める気持ちになったら、子供は
「結果を出せなかった自分でも受け入れてもらえた」
と考え、「自分は認められている」という自己肯定感が大きくなります。自信が出てくるのです。
親子関係に不登校・引きこもりの原因がある場合は、まず親が子供の見方を少し変えてあげることが、登校刺激の出発点です。
次に、親子関係に原因がなくて、子供が失敗・挫折をしたことによって不登校・引きこもりになった場合は、どのように登校刺激をしてあげれば、いいのでしょうか。
この場合は、子供が完璧主義であるなど、自分を追い詰めてしまうケースが多いです。
まず、その頑張りをほめてあげるべきです。結果を出そうとして一生懸命頑張ったはずで、その結果を出せなかったことに深く傷ついています。その心の傷をいやすためにも、周囲の人々が、
「よく頑張った」
と認めてあげることが、登校刺激の出発点になります。
「自分はダメなんだ」と自己肯定感が低くなっている間は、子供たちは外に出ていけません。完璧主義であるがゆえに、失敗や挫折で自己肯定感を低くしてしまっていますが、逆に言えば、失敗や挫折でショックを受けるほど、頑張ってきたのは事実です。
そのことを子供自身に認識させてあげると、
「自分は頑張ってきたんだ」
と考えて、自己肯定感が高くなるきっかけとなります。
次に必要なことは、先ほどの「プロセス主義」の人生観を伝えることです。結果ではなく努力というプロセスのほうが大事であること、たとえある結果が出せなくとも、努力したことは何らかの成功に結びつくこと、挫折や失敗を乗り越えたところに、成功があるということを子供に伝えて、100%成功しなければならないという完璧主義を修正してあげることが、次の登校刺激となります。
子供が挫折や失敗によって不登校・引きこもりになった場合、その子をそうした環境から脱出させるには、親をはじめ、周囲の人のもつ人生観が問われるのです。
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