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不登校カウンセリングブログその1071.不登校の「転換期」において注意したいこと。

更新日:2022年10月23日


 個人差もありますが、不登校は一般的に、「混乱期」→「安定期」→「転換期」→「回復期」というプロセスで解決していきます。子供自身もそうですが、親御さんにとってようやく努力が報われた思いを感じるプロセスは、「転換期」でしょう。「転換期」とは、子供が外の世界、フリースクールであったり、塾であったり、あるいは学校であったりとさまざまですが、そういう世界に関心を持ち出したプロセスです。「安定期」はたいてい長く、しかも全体的にあまり元気がない状態ですので、そういう状態の子供を見てきた親御さんとしては、元気が出てきて外の世界に関心を持ち始めたわが子の姿を見ることには、嬉しい気持ちが伴うでしょう。


 そのような「転換期」のプロセスですが、いくつか注意していただきたいことがあります。将来が明るく見える「転換期」においても、子供への接し方に問題があると、また前の段階である「安定期」に戻ってしまって、場合によってはそれが長く続く可能性があるのです。子供への接し方において注意していただきたい点を、挙げたいと思います。


1 親が先走りすぎない

 嬉しくて、ついやってしまいがちなことですが、「あれもやったらどう」「これもやったらどう」と親が先走ってしまうのです。

 例えば、「塾に行こうかな」と子供がつぶやいた時、「じゃあ、近くの塾に見学に行こうか」と先走ってしまうようなことです。子供のためを思ってやっていることですが、そのようにつぶやいた子供の心の状態によっては、親の先走りがプレッシャーになる可能性があります。

 

 「塾に行こうかな」とつぶやいたといっても、子供の心の状態はさまざまです。本当に塾に行こうと思っている場合もあれば、家に居るのが退屈になってきて「塾に行こうかな」と何となく思ったという場合もあります。まだ子供の心が固まっていない場合は、背中を無理やり押された感じに受け止めるでしょう。


2 解決にはまだいくつかのハードルが残っていることを再確認する

 「安定期」と「転換期」は大きく異なります。そのため、「転換期」に入ると、もう不登校が解決しそうな気持になってしまうのですが、不登校の解決にはまだ、いくつかのハードルが残っているのです。それらを越えるのもなかなか大変なことです。


 学力の問題があります。不登校の時期が長いほど、学力は低下しています。低下してしまった学力をどうするか、学びが生活の中心の子供にとっては、大きな課題です。「転換期」から「回復期」のプロセスにおいて、この課題をある程度、クリアする必要があります。


 体力の問題もあるでしょう。長い間、部屋にこもっていたので、体力は相当落ちています。不登校の状態から出て、学校にもどるか、あるいは別の道を選択するか、不登校の「解決」のスタイルは変わってきますが、いずれにしても体力は必要です。その体力を少しでも戻しておくというハードルがあります。


 子供自身の心の状態もまた、ハードルとして存在します。外の世界に関心を持ち始めているものの、まだ自信は十分ではなく、元のクラスに戻って人間関係はどうなるのか、あるいは新しい選択をするとして、そこでの人間関係はどうなるのか、という不安も抱いています。


3 一喜一憂しない

 こういう経験はないでしょうか。昨日は子供が元気になったのに、今日は元気がなく落ち込んでいて、ネガティブなことしか言わないという経験です。元気になった時には、親御さんは喜んだのに、元気がなくなった時には落胆した、というふうに、子供の感情に影響を受けてしまいます。


 不登校の状況から完全に脱出するまで、子供の気持ちは小さく上がり下がりします。そういう小さな波を描きながら、大きな波としては上向いていくという形をとります。


 親御さんの気持ちとしては、子供が元気になっている様子を見るのは、とても嬉しいことでしょう。ただ、翌日は子供の様子はどうなっているか分からないのです。たとえ元気になっていても、「まだ下がることもある」とどこか冷静な心を残しておいた方がいいでしょう。逆に、元気がなくなった状態でも、「また上がるだろう」という気持ちを残しておくべきでしょう。


 親が安定している様子を見せることで、上がり下がりする子供にとっては、安心のもととなります。


 不登校の「転換期」は、子供自身はもちろん、親御さんの努力が実り始めたプロセスです。解決において大事なプロセスでもありますので、注意すべきことは注意して、子供と向き合ってください。






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