不登校カウンセリングブログその1084.不登校の子供の心の状態に合ったコミュニケーションー不登校の直後と安定期ー。
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2022年3月27日
- 読了時間: 4分
更新日:2022年10月22日

不登校の解決には、子供の心の状態に合ったコミュニケーションが大切であることを、これまでのブログでたびたび取り上げてきました。そのコミュニケーションについて、詳しく掘り下げていきたいと思います。
不登校直後からしばらくの間、子供によっては、誰ともコミュニケーションをとりたくないと思っていることがあります。不登校の状況になるまで、学校に行き続けることに疲れてしまって、エネルギーを使い果たしてしまった場合です。そのような場合、とにかく静かに休みたい、誰とも話をすることなく、静かな環境の中で、使い果たしてしまったエネルギーを満たしていきたい、と願うことがあります。
もちろん、すべての子供がそうなるというわけではありません。中には、エネルギーを充てんするために、誰かと話していた方がいいという子供もいます。
ただ、一般的には、誰とも話すことなく静かに過ごしていたいと思うことが多いです。その場合は、周囲にいる人は、あえて子供に言葉をかけないというコミュニケーションをとっていきます。無関心というわけではありません。関心を持ちながら、「あえて」コミュニケーションをとらないのです。通常は、「見守る」という表現で表されるコミュニケーションです。
子供に語り掛けることはしないけれども、「今日は、どんな気持ちなんだろうか。昨日よりは元気になったのだろうか。まだ話しかけない方がいいだろうか」等と、子供の様子を静かにうかがいます。言葉をかけないけれども、これもコミュニケーションの一つです。
子供が元気を取り戻して、会話が可能になった場合、基本的には不登校の「安定期」の場合ですが、この段階でのコミュニケーションは、「共感」がメインとなります。「安定期」は長いため、前半と後半とでは子供の心の状態にも差があり、したがって子供へのコミュニケーションの内容も異なります。前半は「共感」、すなわち、子供の気持ちを静かに聞き、子供の心の中にある悩みや苦しみを理解し、さらに「大変だったね」「苦しかったね」と子供に伝えるコミュニケーションが中心となります。
「安定期」の前半では、例外もありますが、子供たちの多くが深く傷ついています。その傷をいやすことが、コミュニケーションの目的となりますが、「共感」することは、子供の傷をいやす有効な方法です。
では、ずっと「共感」をコミュニケーションの中心にしておけばいいかというと、そうではありません。「共感」だけでは、子供は先に進みにくいのです。「共感」によって傷はいえても、「よし、外の世界に出ていこう」とはなりません。共感することで傷がいえてきたら、少しずつ、背中を押していく必要があります。コミュニケーションの中で、そうした言葉をかけていくのが、「安定期」の後半です。
背中を押すコミュニケーションは、子供によって異なります。子供が心の中に抱えている思いを知り、心の中にどのような迷いやためらいがあるのか、外の世界に出ることを押しとどめている思いは何かを詳しく知る必要があります。
「自分はダメだ」という自己否定感がある場合は、「あなたはダメなんかじゃない」ということを伝えていくことが、コミュニケーションの中心となります。努力することによって実力をつけることができることを伝えることも、そのコミュニケーションの一つです。子供が意識していない、あるいは忘れてしまっている長所を伝えることも、コミュニケーションとなります。
「たくさんの人の中にいると、人に合わせることばかりすることになって、気疲れしてしまうから、外の世界に行きたくない」と思っている場合は、人と合わせることは高い協調性を持っていることであり、決して悪いことではないけれども、時には自己主張することも必要であることを、コミュニケーションの中で伝えていきます。「そんなことをしたら、嫌われてしまうかもしれない」と、子供は抵抗を示すかもしれません。その場合は、思春期は自慰意識が高くなっているので、他人からどう思われるかが気になる年頃であるから、そういうことは気にしすぎなくていいということや、それで嫌ってくるのであれば本当の友達ではないのかもしれず、友達として付き合い続けることに見切りをつけてもいいということを伝えて、子供の抵抗感を解消していきます。
これらはほんの一例にすぎません。実際は、子供の人柄や他人との付き合い方などを考慮したうえで、子供とのコミュニケーションの内容を決めていきます。「共感」から、背中を押す「励まし」あるいは「勇気づけ」へと、コミュニケーションの方針を変えていきます。
Comments