不登校カウンセリングブログその1163.不登校直後の、不安定な心の状態の子供。「元気がない」状態と「暴れる」状態で、どう接すればいいのでしょうか。
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2022年6月13日
- 読了時間: 4分
更新日:2022年10月21日

不登校直後の子供の多くが、不安定な心の状態です。その状態は、大きく分けて、「元気がない」状態と、「暴れる」状態です。「元気がない」状態は文字通り、子供に元気がなく、落ち込んでいる状態です。学校に行きたくないと思いながら、学校に行き続ける中、エネルギーを使い果たしてしまって「元気がない」状態であったり、「自分はダメだ」という深い自己否定感を抱いてしまって、将来にも希望を見出せなくなってしまって「元気がない」状態であったりします。
「暴れる状態」は、悩んでいる親御さんも多いでしょう。不登校になるまでの苦しみや、不登校になっている状況での苦しみを、自分の心の中で処理できず、身近にいる親に「暴れる」ことで処理しようとしているのが、「暴れる」状態です。
こうした状態で、親はどう接すればいいのでしょうか。
まず、子供の心の状態によっては、どうにもならない時があることをおさえておくべきでしょう。どうにもならないとは、親がどう接しても、どういう言葉をかけても、不安定な心の状態が安定しない時期があるということです。
もし、あなたが深い苦しみや悲しみで心が張り裂けそうになっている時、そばにいる人が本当に自分のことを思って言葉を発したとして、その言葉を受け入れることができるでしょうか。あまりにも深い苦しみや悲しみであれば、大人であっても受け入れることができないことはあると思うのです。
まだ子供は、人生経験が未熟であり、知識も足りません。自分の心をコントロールする力も未発達です。そうであれば、大人以上に心が不安定になって、他人からの言葉を受け入れられない時はあるはずです。そういう時は、その心の状態を尊重して、子供の周りの環境を整えて、そっとしておく方がいいのでしょう。
人とのコミュニケーションは、どうしても一方通行になりがちです。自分が伝えたいことを伝えることに一生懸命で、その伝えたいことが本当に相手に伝わるかどうか、確認しないことがあります。不登校の子供とのコミュニケーションでは、その点を特に注意すべきでしょう。
では、そっとしておいた方がいい状態の見極めは、どうすればいいのでしょうか。これは、 接している親御さんの感覚的な判断が、最も信頼のおける方法だと思います。子供と接していて、どうもこれはしばらく時間をおかないと、子供に言葉が届かないと判断されれば、その判断に従うべきでしょう。
注意すべきは、「暴れる」状態の子供が、暴力に訴えないようにすることです。ささいな暴力に対しても、「暴力は受け入れない」ときっぱり話しておくべきです。暴言を受けるだけでも親はしんどいのに、暴力まで受けるようになると、耐えきれなくなってしまいます。
さて、そうしてそっとしておいて、次にはどうすればいいのでしょうか。その場合、多くの場合は時間が味方になります。全子供に言えることではありませんが、時間がたてば子供も少し、落ち着いてきます。その様子を見て、「これなら言葉をかけられるかな」と判断できれば、言葉をかけていきます。
この時、「元気がない」状態の子供の方が、比較的言葉をかけやすいかもしれません。「暴れる」状態の子供は、反発してくることがありますが、「元気がない」状態の子供は、あまりそういうことはありません。
ただ、その分、かけられた言葉に対する思いが内にこもる傾向がありますので、不適切な言葉をかけてしまうと、心を閉ざすことがあり、注意が必要です。どういう言葉がいいかと言えば、それは「共感」です。子供の苦しさや辛さを共感する言葉が、子供の心を傷つけず、そうした思いを軽くするものだと思います。
「暴れる」状態の場合は、実は、その「暴れる」状態を、「暴れない」状態に導くことができます。そういうことができないと、あきらめてしまって、何もかも耐えるしかないと思い込んでしまっている親御さんがいらっしゃいますが、そのようなことはありません。
そもそも、不登校の子が「暴れる」のは、自分の気持ちを言語化できないからです。苦しい気持ちや辛い気持ちを言語化できず、また、親に対して申し訳ないと思っていながら、それも言語化できないからです。
こうした子供に対してもやはり、「共感」の言葉を伝えつつ、子供との会話では、言語化できない子供の思いを、じっくり聞いてあげるべきでしょう。その過程で、「私は、あなたが不登校になったことを、ダメだとかそういうふうには思っていないから」ということも伝えるべきでしょう。
避けるべきは、子供のことを無視することです。それをしてしまうと、子供は、理解してもらうことをあきらめてしまって心を閉ざし、引きこもりになる危険性があります。
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