不登校カウンセリングブログその1185.親御さんが、不登校の状況を受け入れることの大変さ。「不登校の状況を受け入れてください」と言う方は、その大変さを理解した上で、親御さんにお伝えください。
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2022年7月6日
- 読了時間: 4分
更新日:2022年10月21日

「不登校の状況を受け入れてください」
そういうアドバイスがあります。子供が不登校になった親御さんに対して、一般的に行われるアドバイスです。親御さんにとって、「不登校の状況を受け入れる」とは、
・わが子が不登校になったのは何か理由があるはずで、サボりなどではないことを理解する
・不登校の状況になることで子供は心身を休ませることを理解し、「早く学校に行きなさい」と再登校を促すことなく、子供が休める環境を整える
・子供の心の中にある、何らかの悩みや苦しみ、あるいは疑問があるから、不登校の状況になっているのであり、大事なことは再登校を促すことではなく、それらの悩み・苦しみ・疑問を解消することだと理解する
ということでしょう。
なお、ここでの「不登校」の状況には、さまざまな事情によって子供を学校に戻す選択をするのではなく、家で勉強させている状況は含んでいません。
さて、これら「不登校を受け入れる」ことは、不登校の状況を変えていくには必要なことです。そのアドバイスは、決して間違ったものではないと、私は考えています。
ただ、そのアドバイスをする際、それを実行することがどれだけ大変か、理解していない場合は、そのアドバイスをすることは間違いだと考えています。
一般的に、子供が社会に出ていくプロセスは、学校に通うことです。小学、中学、高校と進学していき、最終的に社会に出ていくのが、一般的なプロセスです。自分の子供が不登校になるまで、親はそのプロセスを思い描いていたはずです。
しかし、子供が不登校になることで、思い描いていたプロセスが崩れ去ったように感じられます。当然、親は、「うちの子の将来は、このままでは先がなくなる」という思いになるでしょう。不登校という状況は、単に不登校になっただけではなく、子供自身にとっても、親にとっても、先が閉ざされたように感じてしまう出来事です。
そうなれば、親は、何とか自分の子供に、無理してでも学校に通い続けてほしいと願います。自分の子供に対する愛情ゆえです。無理してでも学校に通い続けてくれれば、小学、中学、高校と、社会に出るまでの一般的な道を歩むことができます。
そう願うゆえに、自分の子供が不登校の状況になったことを、なかなか受け入れるのが難しいのです。親のわがままなどではありません。親の愛情ゆえに、受け入れるのが難しいのです。
また、不登校の状況を受け入れることの難しさは、時に、子供の心が分かりにくいことから発生します。不登校の子供の多くが、思春期に差し掛かっている年代か、思春期真っただ中の年代です。そういう年代であるため、その時期をはるか昔に通り越して、その時の心の状態を忘れてしまったであろう大人には、子供の心が分かりにくいのです。
そのため、どうして不登校になっているのか、子供の表面だけ見ては分からないことがあります。一見、特にいつもと変わらない状態であるように見えるのに、心や体が疲れ切っていたり、何らかの悩みや苦しみを抱えていたりします。
いつもとは変わらないように見える自分の子供を見ていると、子供を休ませようとするよりも、学校に戻そうと考えてしまうでしょう。また、その心の中にある悩みや苦しみ、疑問になかなか気づきにくいため、そうしたものを解消する必要があることを、すぐには理解しにくいでしょう。
大人同士でも、なかなか相手の心に気づかず、その心の内にある悩みなどに気づいてあげられないことがあります。理解しにくい思春期の子供の心の内であれば、なおさらでしょう
。
第三者であれば、「不登校の状況を受け入れてあげてください」と簡単にアドバイスできます。ただ、子供の人生に深くかかわり、また愛情も深い親御さんにとっては、不登校の状況を受け入れることは簡単ではないのです。もし、そのアドバイスを行う場合は、そのことはきちんと理解しておく必要があります。
Comments