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不登校カウンセリングブログその1316.NHK朝ドラ「舞い上がれ!」で示された、「努力しても結果が出ないことがある」という冷徹な事実。それでも、その努力が別の形で実を結ぶことを、信じていただきたいです


 NHKの朝の連続テレビ小説「舞い上がれ!」を視聴しています。視聴していない方もおられるので、簡単に内容を書きますと、空を飛ぶことにあこがれを持った主人公が、パイロットになることを志して奮闘していく、という物語です。実は私も、この二週間ほど見始めたにわかファンですので、最初からの詳しい物語は知らない点、ご容赦ください。


 先週からは、航空大学校の帯広分校が舞台となって、主人公とさらに2名の訓練生がチームとなり、鬼教官と噂されている人物から指導を受けて、そして昨日12月5日に、一人で訓練機であるセスナ機を飛ばせるかどうかのチェック(プリソロチェックと呼ぶのだそうです)を受け、本日12月6日にその合否の結果が言い渡されました。これに合格しないと退学となる、厳しいチェックですが、将来はパイロットになってたくさんの人の命を預かるわけですから、当然と言えば当然でしょう。


 主人公が操縦して、着陸する寸前、横風が吹いてきて姿勢が崩れたので、主人公はその時は着陸を断念し、もう一度着陸をやり直したものの、センターラインを外れてしまい、果たして合格できるか?という山場が昨日でしたが、今日は無事、教官から合格、もう一人の訓練生も合格と言い渡されました。


 しかし、もう一人の、チームのムードメーカー的な訓練生は不合格、もう一度再検査するも、管制官からの指示を正しく理解できず、指示された内容に従わなかったため、それで退学処分となりました。


 その訓練生は、管制官から指示を受けても、おそらく同時にいろいろなことをこなす力、マルチタスクフォースが十分ではなかったのでしょう、軽くパニックになって指示を復唱せず「ラジャー(了解)」としか言えなかったようで、それがプリソロチェックで出てしまっての退学処分となりました。


 その訓練生は、何も物事が長続きしない人間だったようで、今回、退学処分を言い渡されて荷造りをしている時も、こんなこと何度もあるよ、と言わんばかりに明るくふるまっていました。しかし、二人部屋にいる、今回合格した訓練生は泣いていて、「お前は本当はパイロットになりたかったんだろう?一生懸命にやっていたじゃないか!」と詰め寄ると、不合格したその訓練生は「悔しいよ!パイロットになりたかったよ!」と本心を打ち明けました。


 主人公は教官に、「どうして不合格なのですか。一生懸命努力していたのに」と言いますが、「努力してもパイロットになれない人間はいる」と言います。これはその教官が正しいです。先ほども書きましたように、沢山の人の命を預かるパイロットを養成するのですから、適性がないと判定された人間は、外していかなければなりません。また、努力してもダメなことがあるというのも、その通りです。


 不登校の状況にある子供の中には、「努力してもダメなことがある」ということを実感して、努力することなんて無駄なんだ、と考えている子もいるでしょう。「努力は大切」と私はブログで書いていますが、努力がすべていつも報われるとは限らないとも思っています。「舞い上がれ!」のようなことは、いくらでもあるからです。


 かく言う私も、努力が報われなかった、結果を伴わなかったことがありました。二十代の後半、28歳ぐらいでしたが、ある分野の本を書いて身を立てようとして、それまで勤めていた会社を辞め、アルバイトをしながら本を書いて出版社に持ち込みを始めました。


 しかし、私の能力が足りないために、何十社も出版社に持ち込んでも本にはならず、そうして10年以上の月日が流れました。その間、経済的にはぎりぎりのラインで生活し、またほとんど人とも会わず、ひたすら本を書く毎日でしたが、結局、本になることはありませんでした。


 ただ、その間、塾講師をして不登校について関心を持ち、調べていくうちに、不登校カウンセラーという道を進むことになりました。カウンセラーとしてホームページを立ち上げ、こうしてブログを書くことになっていくと、それまでの書いてきた経験が活きてくることになりました。


 何年も、あるいは10年以上も努力してきたことが、まったく結果にならないことはショックです。何もかもあきらめたくなります。それでも、それまで努力してきたことが、別の何かの役に立つということはあります。


 「舞い上がれ!」の退学処分になった人も、退学処分直後の時点では、おそらく何も考えられない状態かもしれません。これまで何年も目指してきた目標がなくなり、努力が実らなかった今は、先に進むことができないのかもしれません。しかし、あきらめずに新しい道を探し、その道に向かって進み始めたら、これまで学んできたことが、何らかの形で実を結ぶと思うのです。


 「努力したって結果がいつも出るわけではない」と、努力することに空しさを感じている不登校の子供には、また新しい道を探して進んでいけば、その時に努力してきたことが役に立つときが来るということを、信じていただきたいと思います。







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