不登校カウンセリングブログその1152.不登校の子供に接する時は、「共感」と「解答」の両方を持っていることが大切です。
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2022年6月3日
- 読了時間: 4分
更新日:2022年10月22日

不登校の子供とのコミュニケーションの中で、子供のことを励まそうとしたり、元気づけようとしたりする中で、子供から反発された経験はないでしょうか。子供のことを本当に気遣い、励まそうとして、「大丈夫」と言葉をかけたのに、「大丈夫ってどうしてわかるの?!」と反発されて、とまどってしまった、というような経験です。
実際、不登校の状況の多くが、過ぎ去ってみたら「大丈夫」です。時間が経過する中で、親と子供がともに一生懸命、その状況から脱出しようと努力していると、やがて状況は変わってきて、解決に向かいますから、「大丈夫」といえば大丈夫なのです。ですから、「大丈夫」という言葉は間違ってはおらず、正しい「解答」ではあるのです。
では、どうして子供に反発されることがあるのでしょうか。それは、子供の心の状態が、その時は「解答」ではなく、「共感」を求めていたからではないでしょうか。子供の心が深く傷つき、自分の明るい将来を信じることができなくなっている心の状態の時には、先ほどの「大丈夫!」というような明るい言葉を伝えられても、それを信じることができないのです。
その気持ちは、みなさんにも経験があるのではないでしょうか。失恋、受験の失敗、友達とのケンカ、失業などをきっかけにして、深く心が落ち込んでいる時に、そばにいる人が本当に自分のことを思って言葉をかけてくれても、その言葉を信じることができずに反発してしまうという経験は、おそらくほとんどの人にあることでしょう。
そういう心の状態になっている人に対しては、「解答」ではなく「共感」の姿勢で接する方がいいのです。本当は正しい「解答」であっても、心に入っていきませんので、相手の心の傷や悩みに寄り添う「共感」の方が、心を落ち着かせ、その傷をいやせる可能性があります。
わが子が不登校になっている親御さんとしては、早く不登校の状況を解決したいところでしょう。それはそうです。不登校の状況の中で苦しんでいるわが子の姿を見たくはありません。その状況から早く脱出してほしいと願います。それゆえに、子供に「解答」を伝えてしまいがちなのですが、それが子供の心に伝わらないこともあるので、注意が必要なのです。
子供と接する人は、そのような「共感」を持ちながらも、同時に「解答」も持っている必要があります。「解答」とは、子供が悩んでいること、苦しんでいること、疑問に思っていること、不登校の状況がどうすればいい方向に進んでいくか等についての「解答」です。たとえば、人間関係で悩んでいるのでしたら、その悩みについてどう考え、どう解消していくべきかということが「解答」になります。
「共感」だけでは、子供の悩みや苦しみは解消されません。それらを解消することで、不登校の状況から子供は脱出できるのですが、「共感」だけではなく、「解答」があって、子供は自らの心の中から、それらを解消させることができるのです。
「いったい、何のために勉強するの?」
「たくさんの人の中では気を使ってしまって疲れてしまう。どうすればいい?」
「自信を持てない。どうすれば自信がついていくだろうか」
「生きる目的って何だろう」
等々、不登校の子供の悩みや苦しみは様々です。それらの悩みや苦しみに対して、子供と接する人が何らかの「解答」を伝えることで、子供は納得できないかもしれませんが、少なくとも子供が自分で考える材料にはなります。その材料をもとにして、自分で考えていき、納得できる解答を得ることで、悩みや苦しみが解消されていきます。
「不登校を受け入れてください。子供の心に寄り添ってください」というアドバイスを聞いて実行したものの、子供がなかなか外の世界に関心を持とうとせず、時間がたつばかりで何も変化がないという親御さんの話を、時々耳にします。これらは「共感」に分類されるアドバイスなのですが、子供とのコミュニケーションにおいて「共感」しかなく、「解答」が
ないと、子供の悩みや苦しみがなかなか解消されないので、不登校の状況がいっこうに変わらないのです。
子供と接する人は「共感」と「解答」の二つを持ち、子供の心の状態に合わせて、そのどちらを伝えるか、見極めていく必要があります。
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